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「……どう、でしょうか?」


 イフは、上目づかいに俺を見たまま、言った。


 緊張はしているし遠慮もしているものの、退くつもりはないという不退転(ふたいてん)の強い意志が、イフの瞳には宿っていた。


(イフなりの事情が、あるのかもしれないな)


 と、俺は、思った。


 思ったが、それだけだ。


 詮索するのは野暮(やぼ)だし、そのつもりもない。


 それに、イフの提案は、俺にとってはまさに乗りかかった船だ、いや千載一遇(せんざいいちぐう)の好機かもしれないのだ。


 冒険者になれば、俺の目的である魔王ディストピア討伐に少しは近づくような気がした。


 今は寄る()があるのなら、しがみついて一歩でも二歩でも前進すべきだ。


 断る理由も、躊躇(ちゅうちょ)する理由もない。


 俺は、イフをまっすぐに見つめて、言った。


「君の提案にのろう」

 

 イフの表情が、ぱああっと明るくなった。


「よかった……です」


 喜びと安堵が一緒くたになったような響きの声だった。


「では、さっそく明日から行動開始でいいですか?」


「もちろんだ。よろしくな、イフ」


「はい!」


 月がぼんやりと見えはじめた空の下、俺たちは、握手した。

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