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老人の家での薬草づくりの後、イフと俺は、他の家に三軒ほど立ち寄った。
いずれも、薬草づくりのためである。
「コバオオの葉が新鮮なうちのほうが、いい薬がつくれるんです。みなさんの家を今日中に廻れて、よかった」
と、歩きながら、イフは、満足そうに言った。
「ソラさん。つきあっていただいて、ありがとうございました」
「俺は、ただ君についていっただけだよ」
丁寧な言葉づかいもあって、第一印象では正直、生真面目すぎてややもすればクールというか無機質な印象もあったのだが、それらとはまったく異なる一面を垣間見れたような気がした。
第一印象が大事とはよく言われるし金言なのだろうが、大事ではあってもそれがすべてではないように思えた。
空は、夕闇に覆われはじめていた。
「俺に、頼みたいことっていうのは、何?」
と、俺は、聞いた。
イフは、口を一文字に結んでしばらく黙っていたが、やがて意を決したように言った。
「私のパートナーになってください」
そう言ってから、イフは、自身の発言の瑕疵を見つけたのか、慌ててぶんぶんと両手を振った。
「……ご、誤解があるといけませんのでっ! もう少しわかりやすく説明します」
と、イフは、つっかえながら言った。
「パートナーと言うのは、私と冒険者のパーティーを組んでもらって、パーティーのメンバーになってもらいたいのです。二人のパーティーですので、パートナーというわけです」
イブが慌てていた意味が、わかった。
イブが言っているのはビジネスパートナー的な意味のパートナーであって、俺がいわゆる仲のいい関係的な意味のパートナーと勘違いしてしまうのではと、イフは、心配したのだろう。
イフは、俺の目をじっと見た。





