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「冒険者ではない、のですか?」
イフは、確認するように言った。
(あれ?)
その態度は、驚いているように見えたし、なぜかがっかりしているようにも不安になっているようにも見えた。
俺は、イフの問いかけに頷いた後で、
「君は、錬金術師なのか?」
俺は、自分の疑問を投げかけてみた。
せっかくの機会だ、教えてもらえることがあるのなら、胸をかりるべきである。
「そうです。このヴィンセントで、錬金術師を生業としています」
俺たちは、歩きながら、会話を続けた。
「すごいんだな。錬金術師って、頭がよくないとなれないものだろう?」
と、俺は、言った。
勝手な俺のイメージだが、俺のいた世界での錬金術というと、オカルトなイメージがある一方で錬金術の試行の過程で硫酸・硝酸・塩酸などの化学薬品の発見もされているというアカデミックなイメージも併せ持っているのである。
「国家試験が、あります」
「……マジか」
「真面目です」
「じゃなくて、本当か?のほうの……マジか」
「失礼しました。本当です」
イフは、俺のツッコミに合わせてくれた。
生真面目なようで、意外とノリはいいようである。





