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バラを思わせる鮮烈な赤ではない。
血を思わせるどす黒い赤である。
どす黒い赤の光の渦にとりこまれたような恰好のセドリグは、声を上げ続けていた。
禍々(まがまが)しささえ感じる光だ。
ぐうんっと地鳴りのような低音がとどろいた。
「……なっ?」
俺は、思わず体勢を崩しかけた。
小柄なイフの身体も、前のめりになった。
ぐわんっと地面が瞬間揺れたような感覚をおぼえた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああっ……!」
それにしても、このセドリグの激高は、普通ではない。
いや、尋常ではない。
追い詰められて取り乱しているということを差し引いても、普通尋常ではない。
なかば我を失っているようである。
その様子は、言わばまるで別人のようですらあった。
(これは……!)
俺は、直感した。
セドリグの身に何かが起こっているのだ。
ここにいたって、イフは、身体をかたくしていた。
何かを悟ったような表情だった。





