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「君の言っていることは、おおよそ合っている。それは、認めよう」
セドリグは、一瞬瞑目してから目を開けて、
「そして。ここからは、単純に戦闘能力の差が、そのまま優劣に直結する」
と、言った。
「……」
イフも、無言でセドリグの言葉を聞いていた。
「ただでさえ、この二対一は不利」
セドリグは、うつむいた。
「残念なことに、僕は、ココノエ君のように剣の技や武術の覚えはないし、イフのように魔法の類が使えるわけでもない」
セドリグは、俺とイフとを交互に見た。
「戦闘スキルと魔法の素養においても僕は格下。この状況……圧倒的不利だろうな」
妙に物わかりがいいというか冷静な分析をするセドリグの台詞だった。
それが、かえって不気味だった。
「そこまで理解しているならば、あきらめたらどうだ?」
と、俺は、水を向けた。
「勘違いをしているようだね。不利だとは言ったが、君たちが有利なだけで、勝敗はまた別の話だ」
この期に及んでそういう言いようだった。
(……まだ何か隠し球を持っているのか?)
脳裏に不安という二文字がかすめていった。
セドリグは、かっと目を見開いた。





