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「だいいち、あんたがその杖で召喚する前に、俺があんたを撃つ。今の攻撃みたいにな」
と、俺は、びしっと弾みをつけて言った。
「……」
黙ったままのセドリグは、俺が"風駆"で蹴り飛ばした小石がめり込んだままのデエカの木をちらりと見た。
「それがわからないあんたじゃないはずだ」
そう言う俺の横にいるイフが、黙ったままセドリグを見た。
「……ぐっ」
セドリグは、唇を噛みしめた。
「やめておけ。タネは割れたんだ」
俺は、宣告するように言った。
言ってしまえばタネのわかってしまったマジックだ、中身が判明した以上は何とやらだ。
もしくは、言ってしまえばネタばれだ、ネタがばれた以上は何とやらだ。
「なるほど……」
セドリグは、苦々(にがにが)しく笑った。
「なかなかに冷静で的確な判断だ」
「……」
俺は、無言で相手の出方を待った。
「三流の風体だが、中身も三流というわけでもないようだね」
「……そりゃどうも」
セドリグのディスりに、俺は、淡々と応じるのみだった。





