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「あんたも一緒にやってみるか?」
俺は、挑戦的に言ってみた。
思いきりブラフ、思いきり揺さぶり、思いきりダブルセットである。
セドリグは、失笑してから、
「ごめんこうむる。石ころを蹴り飛ばすだけなんて、知性も品性もみじんも感じられないからね」
セドリグは平静を装ってこそいるもののもはや装いきれていない感がだだ洩れだった。
(あの召喚の杖……)
そう思いながら、俺は、セドリグが握っている杖を見た。
俺のいた世界のアニメや漫画ではおなじみ、いかにもなデザインの魔法使い御用達っぽい杖である。
その杖は、魔法陣を媒介としてモンスターを召びだす、召喚の杖だ。
俺とイフは、召喚されたスライム数百匹と戦闘してきた。
何と言っても、一日で数百匹もモンスターを召喚できるスペックである。
この異世界において魔法の素人の俺から見ても、そのスペックたるや相当のもののような気がした。
強力、その一言を口にしても決して過言ではないだろう。
そんな強力な召喚の杖が、セドリグに、あの自信たっぷりな雰囲気を与えていたのかもしれなかった。
セドリグの言うことを額面通りに受け取るならば、召喚の杖は銘品である。
銘品は、持ち主に自信を与えるものだ。
銘品のバフ効果である。
バフ効果とは、ゲーム用語で、該当する魔法やスキルやアイテムを使用することで自分や指定した相手にステータスや能力の上昇など有利な状態が発生させる効果である。
今回のケースで言えば、自信というステータスが上昇するのだ。





