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そういう経験から醸成されたブラフだったのだ。
ブラフという名の演出と言ってもいいだろう。
相当の猛者だというふうに相手に錯覚させる演出だ。
現にセドリグの演出に俺とイフはまんまとはまっていた。
俺はひよっていたし、イフも萎縮していたのでる。
(感じていたプレッシャーが、やつのブラフだったとすれば……)
俺がブラフを張って気がついたことは、ある程度当たっているにちがいない。
(つまりは……)
俺は、剣を握りしめた。
セドリグはじつは魔法に関しては大した素養もないのではないか。
また、セドリグはじつはもはや召喚する力もあまりないのではないか。
疑問形になったが疑問形にするまでもない、そう見てもいいだろう。
商談でならした口八丁手八丁で、それをカムフラージュというかごまかしていたのだ。
(こいつ……)
俺は、セドリグを見すえた。
「まったく。君がやんちゃをするものだから、せっかくのスーツが台無しだ」
肩をすくめたセドリグに対して、俺は、塩対応で、
「遊び盛りなんだ」
「もう少し……紳士的立ち居振る舞いをお願いしたいものだ」
と、セドリグは、スーツについたほこりを払いながら言った。





