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(ノーハン商会若頭補佐……か)
と、俺は、思った。
商売の内容としては、俺のいた世界での総合商社のようなものだ。
商社とは、物資の販売を業務の中心にした商業を営む業態の会社である。
広い意味では、ものを作る製造業や労務を提供するサービス業や土地や建物の売買や賃貸を行う不動産業などとも、深く関係してくるらしい。
販売業なのに他の業種も関係してくるというのだ。
そして、総合商社とは、取り扱う商品が非常に多い商社のことだ。
武器屋の親父の言葉を借りれば、ノーハン商会が取り扱っているものは、まさに「武器から食料まで」といった感じだろう。
以上の情報をまとめてありていに言うと、とにかく大きな会社、である。
会社は、取引をする。
取引には話し合いが必須で、商談とも称される。
商談とは、駆け引きである。
相手の話を鵜呑みにするのでなく、推し量ったりする。
自分の話を正直に開示するのではなく、盛ったりする。
相手を揺さぶったり、逆に相手に揺さぶられたりする。
商談は駆け引きであり、駆け引きは心理戦なのだ。
「こんな中身のない会話ならば、我らがノーハン商会で商談を数多くこなしてきた僕に、分があるのは当然だ」
自信満々のセドリグの言葉だった。
駆け引きや心理戦という交渉術に、セドリグは、長けているのだ。
おそらくは、商会の仕事を通して数多くの商談を通して培ったものだろう。





