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俺は、ブラフを張っているしハッタリもかましている。
そして、それは一種の賭けである。
しかしそれは、向こうもすなわちセドリグも同じだったのだ。
(あの態度……)
明らかに、セドリグは、動揺していた。
もっと端的に言ってしまえば、びびっていた。
真の実に相応の実力と胆力があるのならば、俺の石蹴りなどでは慌てふかめかないだろう。
それこそ一笑にふされて終わりかもしれない。
しかし、現実には、セドリグは、その逆をいく態度を見せたのだ。
これは、ひるがえって見れば、実力と胆力はないということなのだ。
メッキが剥がれてしまった状態というところだろうか。
(セドリグ・ノーハン……)
俺は、あらためて対峙している相手を見すえた。
先ほどまでの俺の状況は、以下のようである。
ゲーセンの猛者との戦いの時と同じなのではないのか、そんな不安が頭をよぎっていた。
こちらの攻撃はまるで通らないのではないかという気さえしてきていた。
中段も下段も投げもリバサ無敵技も、すべて的確に反応されてしまうような予感さえしてきていた。
強烈な八割コンボを二セットくらって、あっけなくケーオーに追いこまれるような予感さえもあった。
(……)
しかし、これらはセドリグが張った強烈なブラフによるものだったのだ。





