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「……」「……」「……」
俺とイフとセドリグは、三者三様に黙っていた。
「す、すごい……です!」
イフが、こそっと小さな声で言った。
「……まあな」
俺は、こそっと答えた。
「……正確にあの木を狙ったんですね……? あんなに離れている場所に命中させるなんて!」
イフが、ちらっと俺を見ながら言った。
「……まあそうかもな」
俺は、こそりと答えた。
「……しかも、セドリグさんすれすれの軌道で……はなれわざです!」
「……そういうこともあるかもな」
本当に狙った場所は、じつはもっとセドリグから離れていたのだが、今はそこに触れている場合でもなく、イフの問いかけに対する俺の答えは、徐々に微妙なものになっていた。
セドリグは、宙をふらふらと漂っていたポケットチーフをうまくつかめなかった。
おそらくは、動揺していたからだろう。
動作が、たどたどしかったのだ。
「危……ないじゃないか」
と、セドリグは、声を震わせながら言って、
「まったく困ったものだな……」
と、皮肉るように続けた。





