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「あんたは、それすらもわかっていないということだろう」
俺は、突きはなすように言った。
「……っ!」
「この杖は、とある者から譲りうけたものだよ。なんでもそうとうの銘品のようだ」
「あんたは、そう言っていた」
と、俺は、セドリグの言葉を思い出しながら、言った。
「……」
セドリグの口元からは、笑みが消えかけていた。
「あんたは、その杖が銘品のようだと言った。ようだと言ったんだ」
「それが、どうしたっていうんだ……」
セドリグの声は、かすれていた。
「あんたに杖を渡したやつが、銘品だと言ったんだ。だから、あんたは、そいつの評価をトレースして銘品だと言ったまでだ」
「……そんな、あの一言だけでそこまで読み取るなんて……」
と、イフが、驚きを隠しきれない様子で言った。
(……綱渡りなんだよな、実際は……)
ネタを明かすと、俺もただ今気づいてただ今言ってのけただけだった。
そんな内心をおくびにも出さないようにしながら、俺は、
「これが意味しているところは、あんた自身は召喚の杖の良し悪しがよくわかっていないということ……」
と、続けた。
ここまで俺が言ったところで、イフがはっとした表情を見せた。





