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今まで見てきたこのヴィセントの街の住人とは一線を画する恰好のグループである。
五人が所持している剣は、どれも鞘に収められているもののものものしい雰囲気で、周りの人々にも緊張が走ったのがわかった。
「憲兵のかたたちが、きてくれたようです。誰かが、知らせてくれたのでしょう。後は、あのかたたちにお任せしましょう」
と、イフが、周りを見回しながら言った。
(憲兵……警察みたいなものかな?)
と、俺は、思った。
「少し、時間はありますか?」
イフは、確か頼みたいことがあると言っていたはずである。
「ああ。大丈夫だ」
と、俺は、答えた。
「よかった。では、私と一緒に来てください」
俺とイフは、その場を跡にして、街を中を歩いた。
今日は、快晴である。
街のほぼ中央をつっきって流れている運河が、太陽の光を浴びてきらひらと光っていて綺麗だ。
「自己紹介が、まだでしたね。私は、イフ。イフ・リリーカルナです」
イフは、俺に向き直って丁寧に言った。
「九重空だ」
と、俺は、言った。
イフは、小首を傾げて、
「ココノ、エソラ?」





