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ださいという言葉が気にくわなかったのだろう、セドリグは、少しし顔をしかめた。
「ココノエ君。言葉づかいを知らないのは、いただけないな」
「上品な言葉づかいで最低なことを言うやつだっているかもしれないだろう?」
と、俺は、言った。
「そうだな。そんなことをする輩は、許しがたいな」
瞑目して、セドリグは、微笑した。
(ふざけている……)
青くさいし子供じみているのは、理解している。
だが、俺にも、譲れない部分はあるのだ。
「好きとか嫌いとか、そういうことは、そんな簡単に言っていいものなんかじゃない」
俺は、セドリグをまっすぐに見すえて言った。
正直、俺のいた世界での俺はと言えば、彼女いない歴イコール年齢だったしそもそも人を好きになったりしたこともないから、そういう感情がどういったものなのか、はっきりと言える自信などない。
しかし、おいそれとそういう感情を口にしていいものではないような気がしたのだ。
「まあ、そうだろうね」
あっさりと頷いたセドリグは、
「嫌いではないから、結婚話を持ちこんだんだよ」
と、言った。
「そういう言葉遊びをやめろと言っているんだ……!」
俺の語気は、強まっていた。
わかったと面倒そうに肩をすくめたセドリグである。





