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俺の思考の歯車が、かたかたとゆっくりと回転していた。
自転車をこぎはじめてゆっくりと車輪が回り出して三十メートルぐらい走って、いよいよ車輪が本格的に回り出しそうなそんなニュアンスだ。
ひゅおっと風が、俺の頬をなでつけた。
(偶然でないのならば……)
俺は、セドリグを見すえた。
偶然を否定するのならば、その先にあるのは必然だ。
弱いスライムを召喚したのが偶然でなかったのならば、弱いスライムを召喚したのは必然だったということになる。
俺は、はっとして、
(弱いスライムを……召喚するしかなかった……?)
と、思った。
セドリグは、微笑を浮かべたままだ。
(もしかすると……)
イフは、思案している俺をちらっと見ていた。
イフは、頑張って気を張っているようだが、この長期戦で疲弊しきっているのは明らかだった。
俺の状態も、イフと似たようなものである。
(苦しいのは、向こうも同じ……?)
と、俺は、考えた。
俺は、ブラフを張ってみることにした。
(……やってみるか)
ここは、多少のリスクをおかしてでも前に出るべきところなのかもしれない。





