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ホームから突如としてアウェーの球場に変更になったくらいの勢いだ。
鳴りやまないブーイングの嵐である。
しかも、一部危ない発言のやつが混じっていたような気がするのは、気のせいだろうか。
いずれにしても、四面楚歌の様相を呈してきていた。
そんな流れを変えたのは、イフだった。
「あなたが貼ってくれたバンソーコーのおかげで、血も止まったようです」
イフの声は、大きめだ。
回りに聞こえるように言ってくれている、のだろうか。
イフの一言で、まわりのささやきやどよめきは、沈静化していった。
「すみません。動揺して、変なことを言ってしまいました」
イフは、申し訳なさそうに小声で謝罪した。
わかっている、イフに悪気はなく、本当に驚いてしまったのだろう。
「いや、俺のほうこそ、驚かせてしまって悪かった」
むしろ、俺が無頓着だった。
「……それで、そろそろ立っていただけると嬉しいのですが……」
と、イフが、遠慮がちに言った。
「ああ、そうだった」
イフに指摘されて気付いた俺は、慌てて立ち上がった。
そんなやり取りをしているところで、いかめしい恰好の兵隊ふうのグループが、こちらにやってきた。
全員で五人であり、どの人物も剣を携えていた。





