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「……さ、三連擊っ!」
イフが、驚きの声を上げた。
俺は、三回連続攻撃により三匹のスライムを撃退したのだ。
"入力実装"こそ発動していなかったが、何とかなった形だ。
(……これは)
俺も、内心驚きの声を上げていた。
いや、正確には驚きというよりもとまどいだった。
「だ、大丈夫ですか……っ?」
ふらついた俺の身体をそっと支えてくれながら、イフが聞いた。
「ああ……大丈夫だ」
イフに礼を言ってから、俺は、剣を支えにしてぐっと直立した。
前方を見やると、セドリグが苦々(にがにが)しい顔をしていた。
「……」
俺は、とまどった。
違和感が、じんわりと肌に張りついているような感じだ。
(どういうことだ……?)
俺は、逡巡した。
俺は、セドリグが放ったスライムたちの急襲をすんでのところで凌いだのだが、手ごたえがなかったのだ。
いや言い直そう、相当数のスライムたちと戦ってきたが、もっとも手ごたえがなかったのである。
一番弱かったのだ。





