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剣を思いきり振りかぶったものだから、俺の体勢は大きく崩れた。
(……くっ!)
そのままぐらりと前につんのめりそうになった。
しかし、四の五の言っている場合ではない。
二匹目のスライムが、俺を踏み潰さんと飛び上がっていたのだ。
「……はあああああっ!」
俺は、思いきりエクスカリパーを振りかぶったフォロースルーの体勢のまま、今度は思いきり真上に剣を振った。
真下から真上への縦薙ぎである。
二匹目のスライムも、真っ二つになった。
エクスカリパーを握っている手が、がくがくと震えていた。
やはり、膂力自体がもう枯渇寸前のようだ。
五百ミリリットルのペットボトルの中身が後一口しか残っていないくらい、俺自身の余力は残っていない。
三匹目のスライムは、イフに襲いかかろうとしていた。
「イフっ! 退がれっ!」
「……は、はいっ」
応じたイフは素早く後方に退いた、バックステップだ。
「最後……だっ!」
と、俺は、声を上げた。
重たい金属製のバットをフルスイングするような勢いで、両手で握ったエクスカリパーを右奥に構えた。
そして、真横に剣が振られると、三匹目のスライムも、霧散した。





