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そして、エクスカリパーを構えた瞬間には、イフの前に飛び出していた。
「……速いっ?」
セドリグは、大きく目を見開いた。
百メートル走のスタートのピストルの音が鳴った瞬間に、身体が反射的に動くようなものだった。
「……ソラっ?」
イフの白銀の髪がふっと揺れた。
俺は、右足を大きく踏みこんでいた。
「……ぐっ!」
もう三匹のスライムたちは、眼前だった。
俺は、エクスカリパーで左上から右下に斬りこんでいた。
刹那、刃に、俺の顔と夕闇と雲と森とが映りこんでいた。
渾身の力を込めて、俺は、剣を振りかぶった。
「……おおおおおおおおおおおっ!」
俺の咆哮に似たかけ声だった。
両手に目一杯に力を込めた。
ただ斜めに振り下ろす、そういう剣一閃だ。
風切り音が、生じた。
はたして、スライムは、一刀両断されていた。
文字どおりの真っ二つである。
二つに分かたれたスライムは、霧散した。





