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びゅおっと強めの風が、吹いた。
「……終わりだって?」
厚い灰色の雲の影が、セドリグの表情を一瞬隠した。
俺は、オウム返しに聞いてきたセドリグに向かって、
「ネタがわれたんだ。これ以上続けることに意味はない」
と、言った。
「くく……なるぼど」
セドリグは、苦笑気味に肩をすくめた。
「こうなったら、方針を変えよう」
あっけらかんとした声のトーンだった。
セドリグは、イフのほうに向きなおった。
「イフ。冒険者というのは、パーティーの仲間を大切にすると聞いているけれども、そうなのかな?」
「……当たり前です」
イフは、毅然とした態度で言った。
一瞬つまったのは、セドリグの言葉の真意がつかめなかったからだろう。
セドリグは、軽く頷いた。
「なるほど。それが冒険者が冒険者たる矜持、であるのかもしれないね」
セドリグは、芝居がかった動きで真横に二三歩移動した。
「じゃあ、宣言しよう」
何気ない調子の一言だった。





