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4-438

 憶測は、どこまでいこうが憶測にすぎない。


 予想や予測が、予想や予測の(いき)を飛び出すことはないのだ。


 だから、考えすぎても、らちがあかないだろう。


 風が、木々の葉をさわさわと揺らしている。


 俺とイフとセドリグの間に、緊迫した空気が(ただよ)っていた。


(だが、ほぼ間違いないのは……)


 俺は、ノーハン商会の若頭補佐のセドリグ・ノーハンを見すえた。


 セドリグの(ねら)いは、ほぼ明らかになっていると言っていいだろう。


 セドリグにとっては、イフに適度に怖い思いもしくは痛い思いをさせて、冒険者から降りるように仕向けるのが、(ねら)いだったのだ。


 こうなってくると、チニチニの花の調達クエストそしてこのデエカの実の調達クエストでのスライム戦をセドリグが影から画策(かくさく)したことも、理由が通る。


 俺たちとスライムとの戦闘は、まさにセドリグの筋書(すじが)き通りだったのである。


 ただ、セドリグにとって、誤算(ごさん)は三つだろうか。


(まず、俺たちも、そこそこやったということ……)


 一つめに、俺たちの戦闘力が想定外に高く、狙いを(たっ)せられなかったということだ。


 俺とイフはツーマンセルで、スライムの群れを何十匹いや何百匹と倒してきているのだ。


 セドリグが召喚して俺たちを襲わせたスライムの数は、回数を重ねるごとに徐々(じよじよ)に増えていった。


 その(たび)に、俺とイフは、撃退していった。


 逆の見方をするならば、セドリグは当初、その数で事足りると思っていたのではないだろうか。


 十匹でいいだろうと思っていたら俺たちがそれを撃退し、ならば二十匹でいいだろうと思っていたらそれも俺たちが撃退し、それならば三十匹ならば以下省略、そんな塩梅(あんばい)である。


 セドリグの予測を上回ったので、セドリグは、召喚するスライムの数を徐々に増やざるをえなかったのではないだろうか。

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