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(この状況は……あれかもしれない)
と、俺は、なかば確信していた。
イフの中で、俺に対する好感度という株価が爆下がり中のようだった。
気付くと、人垣の中からも、一定数の白い視線を、感じた。
どうやら、この状況は、恋愛ゲームで言えば選択肢を誤った状態のようであるし、アニメや漫画で言えばハーレム系ドタバタ恋愛コメディーの主人公の能力、ラッキースケ○というやつだろうか。
(だ、大丈夫だ……主人公補正で許されるはず……)
と、俺が、考えていると、
「いやらしい」
イフの二度目の俺を谷底へと突き落とすような台詞があった。
許されなかったようだし、わずかな補正もなかったようだ。
こういう場面のオチも大抵鉄板で、総スカンをくらうことが多い。
実際、ささやきやどよめきが、生じていた。
「ちょっと、あの人、どさくさにまきまれて、あの子の足を触っているわ」
「何だい、ありゃあ。みっともない」
「俺も、イフたんの太もも、くんかくんかすーはーすーはーしたいお」
「最低だのう」
「ちょっとカッコいいかもって思ったけど、がっかり~」
先程の歓声から一転して、酷い言われようである。
(ぐおおおおおおおおおおおおお……!)
俺は、悲痛な声なき声を上げていた。





