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セドリグは、言い聞かせるようにゆっくりと話していた。
「私……は……」
イフは、言いよどんでいた。
イフの弱々しい返しに、セドリグは、水を得た魚のように勢いづいて、
「君がなすべきは、リリーカルナ商会の跡取りとしての責務を果たすことだ」
イフは、逡巡して、
「でも、私はまだ……」
「経験や年齢など、後からついてくるものだよ」
と、セドリグは、言いはなった。
「大切なのは、血統と才能だ。君は、その両方とも持っているじゃないか」
セドリグは、俺を一瞥して、
「冒険者なんてものは、粗野低俗、そういう連中に任せておけばいいんだよ」
と、言った。
セドリグは、雄弁だった。
(こいつ……)
俺は、セドリグを見すえた。
「冒険者? 僕には、理解できない輩だ。僕らのようなアッパークラスの人間からはかけ離れた存在だよ」
セドリグは、髪をかきあげて、
「クエスト? 野卑滑稽だ。調達? 討伐? じつに泥くさいし意味も意義もないじゃないか」
と、言った。





