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 セドリグは、イフの言葉には逆らっていないが、イフの言葉に理解を示しているようにはみえなかった。


 セドリグは、仰々(ぎょうぎょう)しく眉をひそめて、


「ただ、君はおじい様の庇護(ひご)のもとにあるんだ。そして、そのおじい様は、このことを前向きに検討されているんだよ。それをわかった上で言っているのかな?」


「それは……」


 イフが言葉に詰まる番だった。


 セドリグは、困ったようにそれなのに勝ち誇ったように笑って、


「イフ。あまりだだをこねておじい様を困らせるものではないよ」


 と、言った。


 だだっ子をあやすような調子だ。


(……)


 俺は、今朝がた聞いたヴィセントの街の武器屋の親父の話を、思い出していた。




「ノーハン商会は、表向きはきちんとした商業組織だが裏の顔があるっていうのは公然の事実、というところか」


「一言で言ってしまえば、ヤクザな商売人ってやつだ」


「だが、政治や経済の世界に色々とパイプを持っているし、商業流通で貢献しているのも事実だから、役人どもも見て見ぬふりだ」


「そんなノーハン商会が目の(かたき)にしているのが、このヴィセントの街のリリーカルナ商会だ」


「リリーカルナ商会は、ヴィセントを拠点にしている、武器を大々的に扱っている商業組織だ」


「ノーハン商会とは違って、百年ほど前から続いている老舗だ。ノーハン商会との決定的な違いは、リリーカルナ商会がノーハン商会のやつらのようなやり口を嫌っているところだな。義理と人情と商売とをうまくバランスをとってやっている感じだ」


「ノーハン商会は、リリーカルナ商会のシマであるこのヴィセントの街まで進出しようという腹だから、両者は必然激突するわな。まあ、リリーカルナ商会の結束が強すぎて、ノーハン商会も、あまり表立って手は出しにくのかもしれない」


「もっとも、組織の規模で言ったら、取り込みや排除を繰り返して大きくなってきたノーハン商会が、老舗の組織のリリーカルナ商会に追い付きそうか追い付いたか……このままいけば、ノーハン商会のほうがでかくなっていくだろう」


「リリーカルナ商会からしてみれば、まっとうでないやりかたも容赦なくとるノーハン商会は気に入らないだろうし、ノーハン商会からしてみれば、リリーカルナ商会は拡大を(はば)む邪魔者という認識だろう」

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