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俺たちのスライムとの遭遇は、大別して、二度だ。
チニチニの花の調達クエストの際のスライムの群れとの遭遇が一度、そしてこのネムリアの森でのスライムの群れとの遭遇でもう一度、である。
俺たちは、二度の遭遇でマジックを見せられていたようなものだ。
マジックには、タネがある。
例えば、シルクハットから鳩が飛び出すマジックである。
有名な王道のマジックの一つと言っていいだろう。
タネは、以下のとおりである。
シルクハットの底が二重になっていて、そのスペースに鳩が潜んでいるのだ。
マジックに使う鳩は、身体を小さく丸めたり、おとなしくしているように訓練されているらしい。
もちろん、それと見抜かれないようにスマートにマジックを進めるマジシャンの腕は、賞賛ものだ。
演技力やアドリブ力も必要だろう。
ただし、マジックそのものを不思議に思うかどうかは、別の話である。
タネを聞いてしまえば、何てこともない話になるのだ。
初クエストのチニチニの花の調達クエストそれにこのデエカの実の調達クエスト、これらのクエストでの突発的なモンスターすなわちスライムとの戦闘は、偶然の産物ではなかった。
真の意味では、突発的ではなかったということだ。
すなわち作為的に人為的に仕組まれたものだったのだ。
仕組んだのは、セドリグだろう。
マジシャンはセドリグであり、タネは召喚の杖だったのだ。
「目的はなんだ?」
再び、俺の問いである。





