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病は気からとも言われる。
気の持ちようも重要なのだ。
相手の力を知ることはもちろん重要である。
しかし、それは、無謀猛進を避けるためである。
そこに拘泥しすぎては、勝てるものも勝てなくなってしまうだろう。
「階級は階級。あくまで、指標の一つだ。それ以上でもなければそれ以下でもない」
と、俺は、言った。
「ソラ……?」
イフのサイドテールが、ちょこんと揺れた。
「冒険者の階級の差が、戦力の決定的な差じゃない」
俺は、イフにそして自身に言い聞かせるように言った。
「スライムの大群をよび出していたのは、あんたか」
俺は、セドリグに言った。
単刀直入の問いである。
語尾にクエスチョンマークは付いていない、ある意味、確認にも似た問いかけだった。
俺たちとセドリグの間に、ひゅおっと一陣の風が舞った。
「ああ。その通りだ」
明快な回答だった。
「スライムの群れに君たちを襲わせていたのは、僕だよ」
そう言うセドリグは、あっさりと首肯した。





