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「……召喚の杖……」
イフが、静かに言った。
「ご名答」
セドリグは、イフの言葉を予見していたように何気ない調子で言って、
「さすがは、イフ。魔法の道具の類をよく勉強している」
と、続けた。
(召喚の杖……)
おそらくは、イフの言葉通りの効果を持つ杖だと思われた。
すなわち、その効果とは他でもない、モンスターの召喚である。
「この杖は、とある者から譲りうけたものだよ。なんでもそうとうの銘品のようだ」
セドリグは、杖を少し振りあげた。
「目は口ほどにものを言う。君たちの顔から察するに、僕の答えを待っているようだね」
ここにきて、セドリグは、一歩進んだ。
くしゃっとデエカの落ち葉が、枯れた音を立てた。
以心伝心、俺とイフの間に、緊張の風が奔った。
「百聞は一見にしかず、だ」
言いながら、セドリグは、杖でとんっと地面を叩いた。
「口よりも実際に見たほうが早い」
杖の先端の球体が、妖しく光った。
その光には、見覚えがあった。





