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それでも聞かざるをえなかったのだろう。
そこは、理屈ではなく感情の問題だったのだろう。
そして、セドリグがどうしてこの場所にいるのかということに対して、自分自身で答えがある程度わかっている。
それでも、とまどっているのだ。
きっとそこは、やはり理屈ではなく感情の話なのだ。
「ふう……まあ、ご機嫌斜めということかな」
苦笑したセドリグは、肩をすくめた。
よく言ってみれば、まるで小さいだだっ子をあやすような調子だった。
ひるがえって言ってみれば、歯牙にもかけないような調子だった。
「……」
複雑な表情のまま、イフは、黙っていた。
「もうそろそろいいだろう。前置きが長すぎたようだね」
話の流れを変えるように、スーツのラペルを正しながら、セドリグは、言った。
「……そうだな」
俺も、応じるように言った。
俺はやはり、ある一点に注目していた。
昨日顔を合わせた時と大きく異なるポイントである。
この前会った時と大きく違うのは、セドリグは、右手に大きな杖を持っているということである。
俺のいた世界でもゲームやアニメでおなじみといっても過言ではない、先端に球体を掲げたステレオタイプの魔法の杖である。
いかにもな魔法の杖といったところだ。





