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俺たちとセドリグとの距離は、百メートルすなわち百ルトーメほど離れたままだ。
(……遠くもないが近くもない)
と、俺は、考えた。
もしかすると、セドリグの魔法による遠距離攻撃があるかもしれない。
対して、この距離からの俺の攻撃手段は、高位魔法"暴風塵斬"のみである。
しかし、この疲弊した状態ではもはや使うことはできなさそうだった。
そうなると、残された攻撃手段は、直接物理攻撃のみである。
"入力実装"の移動技"風駆"で一気に距離を詰めてから、直接に攻撃をしかけるしかないだろう。
("入力実装"を使う準備をしたほうがよさそうだな……)
俺は、エクスカリパーの柄を握りなおした。
セドリグは、にこにこしながら両手を広げて、
「クエストご苦労様、イフ」
と、言った。
セドリグのねぎらいの言葉は、優しく丁寧な調子だ。
しかし、その調子がかえって気になった。
「……あの」
イフは、いくぶんか落ち着いてきたとはいえ、そんなセドリグにうまく応じられないでいた。
「どうしてそんな顔をしているのかな?」
と、セドリグは、笑って言った。
セドリグの言葉づかいは、柔らかい調子なのだが、その調子もかえって気になった。





