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ただし、あくまで見込みだ。
しかも、かなりアバウトな見込みだ。
それ以上でもそれ以下でもない、言いかえれば、そこまで当てにはならないのだ。
何となく空が曇っているから、今日は雨が降るかもしれない。
そんな天気予報も確認しないでのアバウトな見込みの当てにならなさは、わざわざ言うまでもないだろう。
何となく色味が赤いから、今から飲もうとしているスープは辛いかもしれない。
そんな香りも確認しないでのアバウトな見込みの当てにならなさも、わざわざ言うまでもないだろう。
(やつの杖……)
アニメや漫画でよく見るようなステレオタイプの先端に球体をかかげた魔法の杖である。
しかし、魔法攻撃がメインと思わせておいて、懐に忍ばせた小型ナイフなどの飛び道具が放たれる可能性だって、あるだろう。
はたまた、俺のいた世界での拳銃のようなものを隠し持っている可能性だってある。
(……判断する材料が、少なすぎる)
俺は、心中舌打ちした。
「君がそう思うのなら、そうかもしれないな……ああ、すまない。これは、たった今の君の台詞だったか。いや、少し前に僕自身が言っていた台詞だったかな?」
くすくすと笑うセドリグは、俺を一瞥した。
「いずれにしても、他の演者の台詞を拝借するようでは、僕もまだまだだな」
俺は、うんざりしたような視線をセドリグに送りながら、
「台詞じゃない。言葉だ」
と、言った。
「ふむ?」





