表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/4618

2-32

 イフは、チンピラたちに絡まれてぶつかってこられた時に落としてしまったと思われる(とう)で編んだバスケットを、抱えた。


 イフの体の四分の一ほどある、大きめのバスケットである。


 イフは、石畳に散らばってしまっていた、摘んできたものだろう、花々や葉っぱや根っこなどを丁寧にかき集めて、バスケットに収めていった。


 俺も、屈みこんで、イフを手伝った。


「ありがとうございます。優しいんですね」


 と、イフは、柔らかい声で、言った。


 女の子にそんなふうに面と向かってお礼を言われるのは久方ぶりで、俺は、なんだか照れくさくなった。


「当然のことをやっているだけだ」 

 

 と、俺は、短く言った。


 イフは、サイドテールをちょこんと揺らして、横目で、


「さっき叫んだあの言葉……」


 チンピラCに投げかけた言葉のことを言っているらしい。


「私をかばおうとしてくれたんですよね……ありがとうございます」


 イフは、うつむき加減に、少し恥ずかしそうにしながら、お礼を言ってくれた。


 イフの中で、俺に対する好感度という株価が爆上がり中のようだった。


 インサイダー取引はいっさい行っていないのに、珍妙な現象である。


(こ、これは……!)


 このイフという女の子は、もしかするとちょろインなのだろうかと、俺は思った。


 ちょろインとは、ヒロインの属性の一つで、語源は「ちょろい」と「ヒロイン」を足したものをいう。


 主人公のちょっとした行動だけで惚れてしまうヒロインを指すもので、アニメやゲームでは冒頭部分に登場することが多いとされる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42bpk4s771sz1iupmgjda531438n_aix_5k_8c_2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ