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湊が、どんっと俺の前に立って、やや早口に、
「彼氏とか言うんだったら、もっとしっかりしてほしいんです」
とか、にっこりしながら言った。
またもや、俺の言葉に割りこんできた湊である。
女子トリオいわく、
「わかりみー」「わかりみー」「わかりみー」
女子トリオは、湊の言葉にうんうんと頷いていた。
湊への理解のトリプルアタックである。
それにしても、見事にハモっている。
女子トリオと湊は、にこにこ顔で見合わせてからの、
「ねー」「ねー」「ねー」「ねー」
本当に、謎の一体感だ。
その日、湊は、その黄色のロングスカートを購入したのだった。
デエカの落ち葉が、かさかさと音を立てていた。
「……妙なタイミングで妙なことを思い出す……」
自嘲気味の息がもれた。
以上が、妹の湊とショッピングモールに買い物に行った時のことである。
このエピソードが示すように、俺は正直、勘がいいほうではないのだ。
むしろ、悪いほうだろう。
妹公認の勘の鈍さである。





