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湊の黒髪が、しゃらんと揺れた。
「……え?」
湊は、自身の耳を疑うかのように小さな声をもらした。
俺の言葉にとまどった湊と俺は、なかば必然、目と目があった。
「似合ってる」
と、俺は、言った。
俺たちの動向を見守っていた女子三人組すなわち女子トリオはと言うと、おのおの戦慄していた。
女子Aいわく、
「な、なにいいいい……っ!」
女子Bいわく、
「ここでえええええ……っ?」
女子Cいわく、
「そうきたああああ……っ!」
女子トリオは、驚愕していた。
しかも、謎の盛り上がりようである。
俺は、意外な伏兵、女子トリオのもはやこそこそ声でもない声にたじろいでいた。
「……っ!」
湊の頭の上に、大きくエクスクラメーションマークがとんっと浮かんだような感じだった。
漫画で言えば、半ページいや一ページ丸ごと一コマで使っていそうなほどの勢いのビックリマークである。
湊が、一条の光を見出したかのような希望を見出したかのようなはっとした表情だった。





