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「……ふぅ」
イフは、ほっとしたように軽く息をついて、ガラス瓶をしまった。
俺のこの異世界での初の戦闘は、終わったようだ。
チンピラAとBとCは、それぞれ、あおむけやらうつぶせやらで、倒れ込んだままである。
ちなみに、当たり前だが、戦闘終了後に、経験値は入ってこないし、金が落ちているわけでもないし、倒した相手が起き上がって仲間になりたそうに見てくるわけでもなかった。
(何とかなったな……)
と、俺は、思った。
ほっとして気が抜けたのか、急に身体が重く感じた。
これは、予感的にわかっているのだがあれである、数日後に筋肉痛に苦しめられるあれなのだが、無傷でこの程度で済んだのだから、よしとしたいところだ。
事態を見守っていた人垣からは、歓声が沸き起こっていた。
「やったぁーっ」
「無事でよかった」
「よかったぜー」
「イフちゃん、らぶりーっ!あんこーるっ」
「兄ちゃんも、すげえなあ!」
歓声のほとんどが、事態の終息に対する安堵の言葉だったり、無事を喜んでくれている言葉だったが、一部、アイドルのコンサートやイベントなどを盛り上げてくれるサイリウムの使い手っぽい人も混じっているようだが、気にしないことにした。
みんな、手が出せないだけで、心配してくれていたのだ。
(とにかく、結果オーライだ)
と、俺は、心中胸をなでおろした。
イフも、緊張からの解放からか、若干顔を上気させていたが、ゆっくりと屈みだした。





