表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

606/4627

4-393

 試着室の台の上で一回転した湊と試着室の前でたたずんでいる俺に降りかかっていたのは、生ぬるい視線とか微妙な視線とか、


「……ちょっと、えっ……?」


「……あれじゃ、彼女、えっ……?」


「ひいちゃうかも……えっ……?」


 そんなこそこそ声とかである。


 頬のあたりに冷や汗を感じた。


(なん……だと……)


 と、俺は、絶句していた。


「それじゃあないんですけどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ?」


 俺の言葉をさえぎりツッコんでくるぐらいの謎の訴えかけモードの湊である。


 そのツッコミたるや、キレッキレである。


 漫画で言えば、確実にコマからはみ出してきているぐらいの勢いである、集中線も太めの勢いである。


「たしかに、私はくるっと回ったよね! 回ったけどっ! 回りましたけどおっ!」


 と、湊が、叫ぶように言った。


 湊は、ぐぐっと顔を近づけてきた。


 左右対称に綺麗に整った湊の唇が、むむむっと山の形に歪んでいた。


「……じゃないよね?」


 興奮気味の湊の甘い吐息が、俺の鼻孔をくすぐった。


「普通、そこじゃないよね、それじゃないよねっ? 回転の時の軸とかぶれとかそういう話じゃないよねっ? ペースとかそういう話じゃないよねっ?」


 と、湊は、矢継(やつ)ぎばやに言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42bpk4s771sz1iupmgjda531438n_aix_5k_8c_2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ