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 試着室の台の上で一回転した湊と試着室の前でぽつんと一人たたずんでいる俺に降りかかっていたのは、生ぬるい視線とか微妙な視線とか、


「……ちょっと、あいつ」


「……あれじゃ、彼女、かわいそすぎ……」


「ひいちゃうかも……」


 そんなこそこそ声とかである。


 頬のあたりに冷や汗を感じた。


(なん……だと……)


 と、俺は、絶句していた。


 湊は彼女ではなく普通に妹なのだが、今はそこにツッコんでいる場合ではなさそうだった。


 この極寒(ごっかん)の空気、刺々(とげとげ)しい雰囲気は、あれである。


 感覚でわかる、直感である。


 恋愛シュミレーションゲームで言えば、確実にゲームオーバーに直行(ちょっこう)のパターンである。


(……なんて……ことだ……)


 ぐっと目をつむって唇をかんだ俺である。


 俺は、打ちひしがれるように心中つぶやいていた。


 肝心なのは、何が原因でゲームオーバーになったのかということだ。


(……)


 しかしながら、俺には皆目(かいもく)見当がつかなかった。


 しばらくの沈黙の後、口火を切ったのは湊のほうだった。


「どうかなって聞いてるんですけどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ?」

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