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にっこりして、俺の次の言葉を待っているような湊である。
その視線たるや、俺に何かを期待している感たっぷりの輝きだった。
俺は、さらに心中小首をかしげながら、
「……何で回転しているんだ?」
と、聞いた。
「……」「……」
俺と湊は、無言になった。
ぴゅおっと軽い風が吹いて、試着室の簡易カーテンがしゃああっと軽く揺れた。
どうしたことなのだろうか、一瞬、虚脱の風が流れたような気がした。
「……ええとね、お兄ちゃん……」
俺の反応に落胆したような湊だった。
なぜ湊がそんな表情になるのか、俺には、今一つわからなかった。
「……にぶ……にぶ……鈍すぎるよ……」
小声で何かつぶやいている湊だった。
「……湊?」
湊は、必死に気をとりなおしたように、
「……いや、まだだっ! まだ終わらんよっ!」
とか言いながら、もう一度試着台の上で静かにゆっくりと一回転した。
「~~~~っ♪」
湊は、何かのCMで流れている女性歌手のポップス調の曲でハミングした。





