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淡い黄色のロングスカートが、ふわふわっと揺れていた。
柄や装飾のないシンプルな単色のロングスカートである。
(……ふむ)
俺は、心中鼻を鳴らした。
こういう服装関係の語彙力は乏しいのでうまく言えないが、いい感じだった。
やわらか感が豊富というかエアリー感がすごいというかとにかくふわふわしていて女子感が二割増しになりそうな、そんなデザインである。
湊は、膝丈ぐらいまでのスカートを好んで身につけていた。
だから、これだけ長いスカートというのは、珍しいといえば珍しかった。
普段の湊とはひと味違う、言わばレア湊である。
「~~~~っ♪」
湊は、何かのCMで流れている女性歌手のポップス調の曲でハミングした。
それから、湊が、試着室の台の上で静かにゆっくりと一回転した。
時計回りに、ほぼ正確な一回転である。
「……ん?」
俺は、小首をかしげた。
何をやっているのだろうか、俺は当然の疑問を抱いた。
「……おい、湊」
俺は、呼びかけた。
「~~っ♪ うんっ……?」
湊は、嬉しそうにハミングを中断して、俺の顔をじっと見た。





