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「その年で錬金術師になんかなれるわけないだろう。はったりだ」
チンピラCは、若干落ち着きを取り戻したかのように、せせら笑った。
「錬金術師と言えば、冒険者を兼ねている者も少なくない、上級職だ。お前のような小娘が、そうそうなれるものではない」
チンピラCの言葉通りならば、錬金術師は、かなり練度の高い職業のようだ。
イフは、チンピラCのあざけりに対して、歯牙にもかけない様子だった。
「そうなのかどうかは、すぐにわかります」
と、イフは、真顔で返した。
「こいつ。ガキだと思って、甘く見てやっていれば、調子にのりやがって」
チンピラCは、懐からナイフを取り出していた。
(まずいな)
と、俺は、思った。
女の子が、チンピラCを倒す光景が、頭に浮かばなかった。
とにかく、チンピラCの気をこちらに向けなければならない。
「お前の相手は、俺だ」
俺は、できる限りの場に通る声で、言った。
イフは、そんな俺に向かって、
「大丈夫です。私に、任せてください」
イフの言葉は、チンピラCを逆なでしたようだった。
「ふざけるなよっ!」
チンピラCは、ナイフを強く握って、イフに向かって、突進していた。





