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このネムリア森という場所にはミスマッチな出で立ちの男性は、自信たっぷりといったふうに立っていた。
「……」「……」
俺とイフは、無言のまま相手の出方をうかがっていた。
かたい表情の俺たちと、微笑さえ浮かべている相手は、じつに対照的だ。
そして、互いに一歩も進まない。
ただ、互いに相手を視界にとらえているのみである。
「イフ……」
と、俺は、小声で呼びかけた。
「……とりあえず、相手の出方をみる。動くな……」
俺は、横目にイフにこそっと話しかけた。
まずは、戦況と戦力の分析だ。
情報を制する者が場を制する。
こちらの情報を相手にどれだけ与えずに、相手の情報をどれだけ奪えるのか。
情報戦における鉄板だ。
それは、今このシチュエーションとて変わらないだろう。
状況開始、すでに戦いははじまっているのだ。
イフは、俺の声にあいまいに軽く頷くばかりだった。
(……まずいな)
と、俺は、思った。
やはり、さきほどの茫然自失のショック状態から立ち直れていないようだ。





