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「あなたの力を見込んで、頼みたいことがあります」
と、女の子は、俺の目を真っすぐに見て、言った。
芯の通ったストレートな眼差しで、女の子の性格の一端を表しているように思えた。
かっちりとした敬語の言葉使いは、可愛らしい容姿とはちぐはぐな感じにも思えたが、生真面目な性分なのだろうか。
「頼みたいこと、俺に?」
はい、と、女の子は、首肯した。
「その前に、やることがあります」
女の子は、俺から、視線をそらして、チンピラCと向き直った。
「あなたが、三人の中では、一番の知恵者ということですが」
と、女の子が、言った。
チンピラCは、なかば破れかぶれな調子で、
「それがどうした!」
と、返した。
「私は、イフ。錬金術師です」
女の子は、イフという名前のようだ。
(それに、錬金術師か……)
剣と魔法の世界では、おなじみの職業で、アイテムを掛け合わせて新たなアイテムを合成するのが得意な器用キャラの位置づけである。
ゲームなら、錬金術師を主役に置いた、調合や合成を売りにした人気シリーズもあったはずだ。
掛け合わせの素材となるアイテムの蒐集と、試行錯誤のアイテムの掛け合わせが楽しめるという、コレクター精神を揺さぶる、名作だ。
もちろん、このような俺のゲームの作品の知識が、この異世界でそのまま当てはまるとは思えないが、明後日の方向に大きく外れることもないような気がする。





