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俺は、片膝をついたまま、術者の影を見すえた。
影は、まだぼんやりとしたままである。
麻婆豆腐の山椒のようにぴりぴりとした、そんな緊張感が首のあたりを突きぬけた。
「……魔方陣の術者……」
そうつぶやくように言ったイフの表情は、真剣そのものだ。
「……そう、だな」
と、俺は、ゆっくりと返した。
術者は、直立しているようだった。
見える人影は一つだ。
相手は、一人ということだろうか。
それに、俺たちから相手の影が見えているということは、向こうからもこちらの影は見えているということだ。
「いったい何者でしょうか……?」
イフの問いかけには、緊張のトーンがじんわりとしみこんでいた。
「……そう、だな」
と、俺は、ゆっくりと返した。
イフは、続けて、
「……あれだけの規模の召喚の魔方陣です。並みの魔力や魔法の技術で作れるものではありません」
と、言った。
イフは、魔法瓶をきゅっと握りしめていた。
すでに、臨戦態勢である。





