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足元がおぼつかないとは、まさにこういう状況を指すのだろう。
二人してふらつき気味である。
とにもかくにも、召喚の魔方陣の術者がすぐ目の前にいるのだ。
くわえて、イフの疑似攻撃魔法"小さな青"が、その術者にどれほどのダメージを与えたのかは皆目見当もついていない。
"小さな青"の水の刃は、デエカの大木を倒しただけにとどまったのかもしれない。
聞こえてきたあの声から察するに、不意をつけたのはたしかだろうが、翻ってみればたしかなのはそれだけなのだ。
(……油断はできない)
と、俺は、思った。
まったくして楽観できる状況ではない。
悠長にかまえている時間はない。
早いところ態勢を立て直さなければならない、それが迎え撃つにしろ攻撃をしかけるにしろだ。
「……大丈夫か?」
俺は、イフにそう聞いた。
「は……はいっ」
イフは、急に我に返ったように返事をした。
「……だ、大丈夫DEATHっ!」
気丈にふるまっているイフに感心しつつも、俺は、
「……なぜだか、その返事、不吉なイメージを感じたな……気のせいか?」
イフは、ぶんぶんと首を振って、
「き、気のせいDEATHっ!」





