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禍々(まがまが)しい血を思わせるどす黒い赤の光をまき散らしながら、召喚の魔方陣が、ぐんぐんと描かれて完成に向かって作られつつあった。
「……あああっ!」
イフが、サイドテールをぴょこんと揺らしながら悲痛な声をあげた。
その時である。
そこから少し離れた場所、ある一点がぼうっと小さく赤く光ったように見えた。
明らかに、魔方陣の光とは別の光である。
俺は、この戦闘で移動技"風駆"で今と同じように跳躍した時にも、たしかにこの光を見ていた。
あの時は気のせいかと思ったが、そうではなかったのだ。
「魔方陣は、作られたもの。それならば……」
と、俺は、言った。
そうなのだ、「魔方陣は何者かによって作られた」とか「ザ・ルーン・イズ・メイド・イン・サムワン」とか「ザ・ワールド・イズ・プレゼンテッド・バイ・サムワン」とか、もしかしたらそんなノリなのかもしれないのだ。
「……あれは!」
イフは、小さい赤い光を見てから、俺の顔を見た。
俺は、イフに向かって頷いてから、
「魔方陣を作っている何かの存在だ」
と、言った。
頭の上にぴこーんとビックリマークがついたような、急に納得した調子のイフは、はっと息をのんだ。
イフは、目を見開いて、
「……魔方陣の術者……っ?」
と、言った。





