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俺は、ぐんぐんと形成されていく魔方陣を見すえながら、
「魔方陣は、勝手に作られるのか? 違うだろ?」
と、問いかけるように言った。
「……ソラ?」
俺の落ちついた声に、イフは、少しとまどった調子である。
「さっきのイフの言葉で、ひらめいたんだ。女神エストが世界を創ったってな」
と、俺は、言った。
女神様が登場する神話では、「世界は女神エストによって創られた」とか「ザ・ワールド・イズ・メイド・イン・ゴッデス・エスト」とか「ザ・ワールド・イズ・プレゼンテッド・バイ・ゴッデス・エスト」とか、もしかしたらそんなノリなのかもしれない。
「……てへ。世界、創っちゃいました」
(……)
間違いなく掛け値なしの美少女、ミス何某などの美少女コンテストやグランプリに出場していてもおかしくない容姿の少女、それが、女神エストその人である。
あの鬼畜女神様であれば、可愛い顔でにこにこ顔で屈託なく軽いノリでノリノリでそんなことまで言い出しそうだから、困る。
俺は、土煙に包まれている地上を見下ろした。
「正直そんな話はスケールが大きすぎて、俺には、よくわからない。だが……」
地上では、魔方陣のコンパスで描いたような形の整った外周の円が、まず作られていった。
「スケールがもっと小さい話ならば、別だ。例えば、件の魔方陣……」
その外周の円の内側にも、それよりも小さい円が、何重かになって描かれていった。
細かな文様や幾何学文字などがびっしりと刻まれていった。
(……くる、か?)
と、俺は、思った。





