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その様子はまさに、小さな竜巻すなわちトルネードだ。
その落ち葉の巻きあがりの根本で、小さなサークルすなわち円状の赤い光が、震えるように発光した。
(……やはりな)
そう俺は思った。
怯えるように、イフの肩が、びくんと震えた。
(……きたか)
俺は、冷静に光を見すえた。
あやしくもまばゆい光である。
「魔方陣の……光っ!」
イフが、悲鳴に似た声をあげた。
あまり光光と連呼していると、光という文字が米に感じられてしまうくらいの光っぷりだ。
ぐうんっと地鳴りのような低音がとどろいた。
ワインレッドのようなほの暗い赤の光が、再び俺たちの前に展開されつつあった。
バラを思わせる鮮烈な赤ではない。
血を思わせるどす黒い赤である。
禍々(まがまが)しささえ感じる光だ。
さきほどと同じ光景だ、既視感すなわちデジャブである。
「そんな……また……っ?」
イフが、叫んだ。
かくのごとく、召喚の魔方陣が形成されつつあった。





