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剣を創り出すは、荒れくるう風だ。
暴風そのものである。
魔法の力で創り出された剣、魔法剣とでもいうべきだろうか。
魔法剣のオーラないしは波動とでも言うべきものが、あふれ出していた。
魔力の奔流である。
俺は、それをたしかに感じとっていた。
「イフっ……揺れる……からな!」
「……は、はいっ」
暴風のなかで、俺たちの声はかき消されかけていた。
互いにかろうじて聞こえる程度だ。
「しっかりと……掴まっていろ……!」
と、俺は、魔法剣の波動を抑えこみながら言った。
こくんっとイフが頷いた。
俺は、不可視の暴風の巨大な剣を縦一閃していた。
渾身の力を込めて、俺は、剣を振りかぶった。
ただまっすぐに振り下ろす、そういう剣一閃だ。
「いっけええええええええ……っ!」
空中で思いきり一閃した勢いのまま、俺と俺が抱きとめているイフの身体は、ぐるんと一回転した。
くっと風切り音が、生じた。
それだけである。





