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「……そは威風にして流麗……」
俺は、言葉を自然と紡いでいた。
勝手に台詞が口をついて出てくるのである。
イフが、あっと声をあげていた。
「空中での詠唱……っ! こんなに不安定なところでっ?」
イフの驚きようからすると、俺自身の自覚はないが、この空という体勢が不安定極まりない場所での詠唱というのはどうやら難易度の高いもののようだ。
俺とイフの周りで、さらに風が荒々しく吹きすさんでいった。
「……そは突風にして剣……」
詠唱が、完成に近づいていく。
ごうごうとうなる風の中、イフは、声を張りあげて、
「それに、そんな連続しての高位魔法は、負担が大きすぎます……!」
イフの指摘は、少なからず的を射ていた。
詠唱をはじめたとたん、高熱の時のようなだるさと重さが一挙に襲いかかってきた。
まるで手足に鉛の塊でもぶら下げているような感じだ。
言うなれば、圧倒的倦怠感である。
「……ああ。結構きつそうだ。だが、やるしかない」
と、俺は、言った。
「……は、はいっ!」
言われたイフは、緊張したように身体を強ばらせた。
最高度まで上昇しきった俺たちの身体は、すでにぐんぐんと降下をはじめていた。





