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「ご、ごめんなさい……っ! なぜか私の結構勢いのあるパンチが覚えもないのにソラの鳩尾に結構しっかりと入ってしまいました!」
イフは、慌てて謝罪した。
おそらくは無意識にだろう、イフは俺にパンチをくらわせていたのだ。
「本当に、ごめんなさいっ!」
平謝りのイフである。
「ふぐぅ……」
言うまでもないが、魚のフグなどではなく、俺のうめき声である。
鳩尾に二連続クリーンヒットは、当たり前当然にさすがにこたえたのだ。
そもそもパンチをかましているあたり無意識も何もないだろうと思う諸兄姉も少なからずいるかもしれないが、それはそれこれはこれである。
「……気に……するな」
俺は、脂汗をかきながら言った。
(……っ)
耳元で風がうなっていた。
ばさばさと髪と学生服が風にあおられていた。
空中にいて地上を見下ろすこの視点は、鳥にでもなった感じだ。
「……さあ」
と、滞空している俺は、地上のスライムの群れを見下ろす形で、言った。
「もう一度だ」
俺は、移動技"風駆"に続いて技を放つべく、精神をさらに研ぎ澄ませ集中した。
"入力実装"の連続発動である。





