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(なん……だと……?)
心中答えのない疑問の声をあげていた俺である。
イフの瞳の奥が一瞬きらっというかぎらっと光を帯びたような気がしたのも、気のせいだろうか。
「だから、大丈夫……だほぉ……っ!」
俺は、言っているさなか、鳩尾に鈍さを覚えてうめいた。
「……ぐぉ」
鳩尾にクリーンヒットだ。
「ご、ごめんなさい……っ! なぜか私の結構勢いのある頭突きが覚えもないのにソラの鳩尾に結構しっかりと入ってしまいました!」
イフは、慌てて謝罪した。
謝りながらも、イフは、少々混乱していた。
おそらくは無意識にだろう、イフは俺に頭突きをくらわせていたのだ。
俺は、顔をしかめながらも、大丈夫だと目で答えた。
(どういう……ことだ?)
俺の言った何かにイフが無意識に反応してしまったに違いない。
その何かを、俺は、はっと思いついた。
頭の中をよぎったのは、ただただ真っ平の台所に欠かせない伝統的な調理用具すなわちまな板である。
「まさか……まない……たほぉ……っ!」
俺は、鳩尾にさらなる鈍さを覚えてうめいた。
「……ぐはぁ」
またもや清々しいまでの鳩尾にクリーンヒットである。





